就労継続支援B型の利用までの流れ|手帳なしの場合・就労選択支援・利用料を解説
2026/07/17
「就労継続支援B型を利用したいけれど、自分は対象になるのだろうか」
「障害者手帳を持っていなくても利用できるのか知りたい」
「市役所への申請や受給者証の手続きが難しそうで不安」
このような疑問を抱えていませんか。
結論から申し上げますと、就労継続支援B型は、障害者手帳を持っていない方でも、医師の診断書や障害年金の受給状況を確認できる書類などにより、障害福祉サービスの対象であることが確認され、市区町村から支給決定を受けることで利用できる場合があります。
ただし、診断書があれば必ず利用できるわけではありません。必要となる書類や手続きは、本人の状況や市区町村によって異なります。
利用者負担には所得に応じた月額上限があり、生活保護世帯と市町村民税非課税世帯では、障害福祉サービスの利用者負担上限が0円です。
本記事では、就労継続支援B型の利用条件、利用料金、就労選択支援、見学から利用開始までの流れを順番に解説します。
※必要書類や手続きの順番は、市区町村や本人の状況によって異なる場合があります。実際に申請する際は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口へご確認ください。
目次
就労継続支援B型(B型事業所)とは?まずは基本を解説
就労継続支援B型とは、障害や難病、体調面などの理由により、一般企業で働くことや、雇用契約に基づいて継続的に働くことが難しい方へ、働く機会や生産活動の機会を提供する障害福祉サービスです。
事業所で作業や訓練に取り組みながら、就労に必要な知識や能力の向上を目指します。
B型事業所では、事業所と利用者との間で雇用契約を結びません。そのため、作業の対価として受け取るお金は「給与」ではなく「工賃」と呼ばれます。
利用日数、利用時間、作業内容などは、本人の体調や希望、事業所の運営方針、個別支援計画などによって決まります。
すべてのB型事業所で「週1日から」「1日1時間から」利用できるわけではないため、希望する利用方法がある場合は、見学時に確認しておくことが大切です。
就労継続支援A型や就労移行支援との違い
就労系の障害福祉サービスには、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労移行支援などがあります。
それぞれの主な違いは、次のとおりです。
| サービス | 雇用契約 | 受け取るお金 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 就労継続支援A型 | あり | 給与 | 雇用契約を結び、支援を受けながら働く |
| 就労継続支援B型 | なし | 工賃 | 自分の状態に合わせて作業や訓練に取り組む |
| 就労移行支援 | 原則なし | 事業所により異なる | 一般企業への就職に向けた訓練や就職活動を行う |
A型は雇用契約を結ぶため、労働基準法や最低賃金法などが適用されます。
一方、B型は雇用契約を結ばず、本人の状態に合わせて生産活動や訓練に取り組むサービスです。
どのサービスが適しているかは、年齢や障害名だけで決まるものではありません。
現在の体調、働いた経験、通所できる日数、将来の希望、必要な配慮などを整理し、市区町村や相談支援専門員、就労選択支援事業所などと相談しながら検討します。
【利用条件】どんな人が対象?障害者手帳がなくても通える基準
就労継続支援B型を利用するために、障害者手帳の所持が必ず必要になるとは限りません。
ただし、手帳を持っていない方が無条件で利用できるという意味でもありません。
障害や対象疾病の状態、就労面の課題、福祉サービスによる支援の必要性などを確認したうえで、市区町村から支給決定を受ける必要があります。障害福祉サービスを利用するには、市区町村への申請と支給決定が必要です。
B型事業所の基本的な対象者
就労継続支援B型は、一般企業で働くことや、雇用契約に基づいて継続的に働くことが難しい方を対象としたサービスです。
対象となる方の例として、厚生労働省は次のような方を示しています。
1.一般企業や就労継続支援A型などで働いた経験があり、年齢や体力などの面から、雇用契約に基づいて働くことが難しくなった方
2.50歳に達している方
3.障害基礎年金1級を受給している方
4.就労選択支援などによるアセスメントを通じて、就労面の課題や必要な支援が整理された方
ただし、上記に該当すれば自動的に利用が決まるわけではありません。本人の状況やサービス利用の必要性を踏まえて、市区町村が個別に支給決定を行います。
また、2025年10月以降、新たにB型事業所を利用する方のうち、従来、就労アセスメントの対象となっていた方は、原則として事前に就労選択支援を利用します。
一方で、次のような方は、就労選択支援を事前に利用せずにB型を利用できる場合があります。
・50歳以上の方
・障害基礎年金1級を受給している方
・就労経験があり、年齢や体力の面から一般企業で働くことが難しくなった方
これらの方も、希望に応じて就労選択支援を利用することは可能です。
障害者手帳がなくても利用できる場合
障害者手帳を持っていなくても、医師の診断や対象疾病を確認できる書類などにより、障害福祉サービスの対象であることが確認され、市区町村から支給決定を受けられれば、B型事業所を利用できる場合があります。
ただし、必要となる書類は、障害や疾病の種類、通院状況、市区町村の確認方法によって異なります。
例えば、自治体から次のような書類の提出を求められることがあります。
・障害者手帳
・医師の診断書や意見書
・対象疾病を確認できる書類
・障害年金の受給状況を確認できる書類
・その他、市区町村が指定する書類
特定の難病については、障害者手帳を持っていなくても、対象疾病であることを確認できる診断書などを提出し、市区町村から必要性を認められることで障害福祉サービスを利用できます。
「自立支援医療受給者証を持っているから必ず利用できる」「診断書があれば必ず受給者証が発行される」とは限りません。
まずは市区町村の障害福祉担当窓口へ、次の内容を伝えて確認しましょう。
・現在困っていること
・通院している医療機関
・障害者手帳の有無
・一般企業やA型事業所などで働いた経験
・希望する仕事や通所日数
・利用を検討しているB型事業所
・就労選択支援を利用する必要があるか
自分だけで説明することが難しい場合は、ご家族、相談支援専門員、医療機関の支援者などへ相談する方法もあります。
【利用料】就労継続支援B型は1日いくら?「自己負担0円」の仕組み
就労継続支援B型の利用料は、全国一律で「1日〇円」と決められているわけではありません。
障害福祉サービスでは、原則としてサービス費用の1割を利用者が負担します。ただし、所得に応じて1か月当たりの負担上限額が設定されており、利用したサービス量が増えても、上限額を超えてサービス利用料を負担することはありません。
なぜ利用料が0円になる人がいるのか
厚生労働省が示している負担上限月額は、次のとおりです。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯で所得割16万円未満 ※一定の除外条件あり |
9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
18歳以上の障害者の場合、利用者負担を判断する際の「世帯」の範囲は、原則として本人と配偶者です。親と同居している場合でも、親の所得を含めない仕組みとなっています。
ただし、所得区分の最終的な判定は市区町村が行います。
そのため、記事上で「実家暮らしなら必ず無料」「障害年金だけなら必ず0円」と断定することはできません。自分の負担上限月額については、受給者証または市区町村の窓口で確認してください。
また、負担上限額が0円となるのは、障害福祉サービスの利用者負担についてです。
昼食代などの実費については、サービス利用料とは別に負担が発生する場合があります。通所施設の食材料費は、施設ごとに設定されます。
見学時には、次の費用について確認しておくと安心です。
・障害福祉サービスの利用者負担
・昼食代
・作業や行事に関する実費
・送迎を利用する場合の費用
・その他、利用時に必要となる費用
福祉事業所はんどinはんどでは、障害福祉サービスの利用者負担とは別に発生する可能性がある費用について、見学・契約時にご説明しています。費用の有無や金額は利用内容によって異なるため、事前にお問い合わせください。
1日当たりの利用料は一律ではない
B型事業所のサービス費用は、事業所の支援体制や報酬区分、利用時間などによって異なるため、1日当たりの利用者負担を一律に示すことはできません。
例えば、負担上限月額が9,300円の方であっても、必ず毎月9,300円を支払うわけではありません。
1か月の利用者負担額が6,000円であれば、原則として負担額は6,000円です。一方、1か月の利用者負担額が上限を超える場合は、9,300円までとなります。
市町村民税非課税世帯など、負担上限月額が0円と判定された方は、障害福祉サービスの利用者負担は0円です。
自分の負担額を確認したい場合は、次のいずれかへ相談してください。
・お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口
・相談支援事業所
・利用を検討しているB型事業所
【利用までの流れ】見学から通所開始までの5ステップ
就労継続支援B型の利用を始めるには、原則として市区町村へ申請し、障害福祉サービス受給者証の交付を受ける必要があります。
2025年10月以降は、本人の状況によって、B型利用前に就労選択支援が必要となるため、最初の相談時に確認しておくことが大切です。
手続きは、おおむね次の5段階で進みます。
| ステップ | 行うこと | 確認したいポイント・詳細 |
|---|---|---|
| 1 | 市区町村や相談支援事業所へ相談 | 必要書類、利用条件、就労選択支援の必要性を確認する |
| 2 | B型事業所を見学・体験 | 作業内容、通所日数、支援体制、費用、送迎などを確認する |
| 3 | 必要に応じて就労選択支援を利用 | 得意なこと、苦手なこと、希望する働き方、必要な配慮を整理する |
| 4 | B型利用を申請し、利用計画案を作成 | 市区町村の支給決定を受け、受給者証の交付を受ける |
| 5 | B型事業所と契約して利用開始 | 利用日数や作業内容などを確認し、個別支援計画に沿って利用する |
ステップ1:市区町村や相談支援事業所へ相談する
最初に、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口へ相談します。
すでに利用したいB型事業所が決まっている場合は、その事業所や相談支援事業所へ先に相談しても構いません。
この段階で、次の内容を確認します。
・B型の利用対象となる可能性があるか
・就労選択支援を事前に利用する必要があるか
・申請に必要な書類
・サービス等利用計画案の作成方法
・利用開始までの手続き
市区町村は、本人の利用意向、生活状況、サービス等利用計画案などを踏まえて、サービスの支給が必要かどうかを決定します。
ステップ2:B型事業所を見学・体験する
利用前に、気になるB型事業所を見学し、作業内容や雰囲気を確認します。
確認したい項目は次のとおりです。
・どのような作業があるか
・自分の興味や得意なことに合う作業があるか
・週何日から利用できるか
・1日の利用時間
・体調不良時の対応
・工賃の計算方法
・昼食や送迎の有無
・スタッフへ相談しやすいか
・将来の就職や生活に関する支援
・見学後、契約を断ることができるか
福祉事業所はんどinはんどでは、見学や1日体験を受け付けています。
作業内容として、検品、シール貼り、袋詰め、箱の組み立て、清掃、ハンドメイド、データ入力などを案内しています。
見学や体験は、利用契約を確定するためのものではありません。
実際に事業所を見たうえで、「自分の体調や希望に合っているか」を判断する機会として活用しましょう。
また、当事業所へ見学に来られる方からは、「障害者手帳がなくても相談できるか」「週に何日から利用できるか」「どのような作業が自分に向いているか」といった質問をいただくことがあります。
見学時には、作業内容だけでなく、体調に合わせた利用方法や送迎、昼食、工賃についてもご説明しています。
ステップ3:必要に応じて就労選択支援を利用する
2025年10月以降、新たにB型事業所を利用する方のうち、対象となる方は、原則として利用開始前に就労選択支援を利用します。
就労選択支援では、本人との面談や作業場面などを通じて、次の内容を整理します。
・本人が希望する働き方
・これまでの経験
・得意なことと苦手なこと
・作業を行ううえで必要な配慮
・生活面や健康面の状況
・今後利用できる就労支援や福祉サービス
就労選択支援は、「働けるかどうか」を判定したり、本人の意思に反して利用先を振り分けたりするサービスではありません。
本人が納得して働き方や進路を選べるように支援するものです。
就労選択支援事業所の空き状況などによっては、相談から利用開始までに時間がかかる場合があります。B型の利用時期を希望している場合は、早めに市区町村や相談支援事業所へ相談しましょう。
ステップ4:B型利用の申請と利用計画案の作成
市区町村へB型利用の申請を行い、必要に応じて相談支援事業所と「サービス等利用計画案」を作成します。
サービス等利用計画案には、本人が希望する生活や働き方、利用するサービス、利用頻度、支援の目標などを記載します。
その後、市区町村が内容を確認し、支給決定を行います。支給決定後、サービスの種類や支給量、利用者負担上限月額などが記載された受給者証が交付されます。
申請から受給者証が交付されるまでの期間は、市区町村、本人の状況、提出書類、就労選択支援の利用状況などによって異なります。
「数週間で必ず交付される」とは限らないため、利用開始を希望する時期がある場合は早めに相談してください。
相談支援事業所はんどinはんどでは、サービス利用計画の作成、市区町村や関係事業所との連絡調整、各種申請手続きの案内や同行支援を行っています。
トラブルを防ぐ!B型事業所の「送迎の算定ルール」
B型事業所によっては、利用者の通所を支援するために送迎を行っています。
ただし、すべての事業所が送迎を行っているわけではありません。また、送迎エリア、乗降場所、運行時間、利用条件などは事業所によって異なります。
「送迎あり」と書かれていても、自宅まで迎えに来てもらえるとは限らないため、契約前に具体的な条件を確認しましょう。
送迎は居宅と事業所間が原則だが、駅や集合場所も対象になり得る
障害福祉サービスの送迎加算では、事業所と利用者の居宅との間の送迎が原則とされています。
ただし、厚生労働省のQ&Aでは、事業所の最寄り駅や、利用者の自宅近くに設定した集合場所などへの送迎も想定されています。
駅や集合場所を利用する場合は、事前に利用者と事業所が合意し、特定の乗降場所を決めておく必要があります。
したがって、
・自宅前への一対一送迎だけが正しい
・駅や集合場所での送迎は原則として認められない
・駅送迎には必ず行政の事前承認が必要
と一律に判断することはできません。
実際の運用は、事業所の送迎体制や本人の状況によって異なります。
見学時に確認したい送迎のチェック項目
送迎を希望する場合は、見学時に次の内容を確認しましょう。
1.自宅が送迎対象エリアに含まれているか
2.自宅前、近隣道路、駅、集合場所のどこで乗降するのか
3.片道の乗車時間はどのくらいか
4.他の利用者との相乗りになるか
5.朝と帰りの出発時間
6.毎日利用できるか
7.送迎利用に費用がかかるか
8.車椅子や歩行補助具に対応しているか
9.体調不良や欠席時の連絡方法
10.台風や大雨など悪天候時の運行基準
特に沖縄県では、台風や大雨などによって送迎時間や事業所の開所状況が変わる可能性があります。
安全に通所を続けるためにも、「送迎があるか」だけではなく、実際の運行方法まで確認することが大切です。
まとめ|就労継続支援B型の利用までの流れを確認しよう
就労継続支援B型を利用する際のポイントをまとめます。
1.障害者手帳がなくても利用できる場合がある
医師の診断や対象疾病などを確認できる書類を提出し、市区町村から支給決定を受けることで利用できる場合があります。
2.診断書だけで自動的に利用できるわけではない
必要な書類や支給決定の方法は、市区町村や本人の状況によって異なります。
3.利用料は1日当たりの一律料金ではない
所得に応じて、月額0円、9,300円、37,200円などの負担上限額が設定されます。
4.2025年10月から就労選択支援が始まっている
新たにB型を利用する方のうち対象となる方は、原則として利用前に就労選択支援を利用します。
5.利用するには市区町村の支給決定と受給者証が必要
市区町村への相談、事業所の見学・体験、必要な申請、利用計画案の作成などを経て利用を開始します。
6.送迎方法は事業所ごとに確認する
自宅送迎だけでなく、事前に決めた駅や集合場所から送迎する場合もあります。
最初からすべての手続きを一人で理解する必要はありません。
まずは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口、相談支援事業所、見学を希望するB型事業所のいずれかへ相談し、自分の場合に必要となる手続きを確認しましょう。
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